2024.07.15
葬儀の基礎知識
忌中に他人の葬儀に参列してもよいのか?忌中にやってはいけないことを解説
身内が亡くなり、忌中期間であった場合に、他人の葬儀の案内をもらうことがあります。しかし、忌中でも参列してよいのか、迷う方は多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、忌中に他人の葬儀に参列しても問題ないのか、参列したくない場合はどうするのかについて解説します。また、忌中にすべきこと、やってはいけないことなどの情報もまとめました。忌中のマナーや過ごし方について知りたい方は、ぜひ参考にしてください。
忌中(きちゅう)とは
まずは、忌中とは何を指すのか、混同しやすい言葉である喪中(もちゅう)との違いは何かについて解説します。
忌中とは四十九日法要までの期間
忌中とは、家族や親族が亡くなった際に、四十九日法要を執り行うまでの期間です。仏教においては、亡くなった人の次の行き先が決まり、最後の裁きが下されるのが四十九日目とされています。四十九日法要をひとつの節目として、悲しみを癒し、気持ちに区切りをつけます。
ただし、浄土真宗においては、亡くなった人はすぐに極楽浄土に往生すると考えられているため、忌中という概念はありません。また、神道では「五十日祭」までの50日間が忌中期間とされています。
かつては、忌中期間には身を慎み、家の門戸を閉ざして外部とは接触せず、喪服を着て過ごす習わしがありました。肉や酒を絶った精進料理を食べて生活していましたが、現代では多くの地域でそうした風習はなくなっています。忌中でも普通の生活を送り、仕事や学校にも出かけるのが一般的です。
忌中と喪中の違い
忌中とよく似た言葉に「喪中」があります。喪中も忌中と同様に、家族や親族を亡くした人が故人を偲び、身を慎む期間です。ただし、忌中が四十九日法要までの期間であるのに対して、喪中は一周忌までのおよそ1年間を指します。
喪中期間は、故人との関係や地域によっても異なるため注意が必要です。たとえば、自分が故人の配偶者や父母に該当する場合には、12〜13カ月が喪中の目安です。自分が故人の祖父母や兄弟姉妹である場合には、3〜6カ月が目安となります。
忌中に他人の葬儀に参列してもよいのか
一般的には、忌中期間であっても、他人の葬儀に参列して問題はありません。とくに、自分の家族や親族の葬儀に参列してくれた方が喪主の場合は、マナーとして参列したほうがよいでしょう。
ただし、参列する際には、以下の注意点を押さえておくことが大切です。
- 節度をもって参列する
- 忌中であることを伝える必要はない
- 地域の慣習を確認したほうが無難
それぞれのポイントについて詳しく解説します。
節度をもって参列する
喪中であっても他人の葬儀には参列できますが、節度のある行動をとることが大切です。
葬儀後の会食についても、亡くなった方の思い出などを語り合って偲ぶための場であるため、参加してもかまいません。ただし、会食の席で大きな声を出したり、騒いだりすることは避けましょう。
忌中であることを伝える必要はない
忌中期間中に他人の葬儀に参列する際、自分から忌中であることを言う必要はありません。忌中でないときと同様に、お悔やみの気持ちを伝えて参列してください。
ただし、隠す必要もないため、もし相手から尋ねられたら自分が忌中であることを率直に伝えましょう。
地域の慣習を確認したほうが無難
地域によっては、忌中に関する慣習が決められている場合があります。忌中は葬儀に参列すべきではなかったり、参列しても会食は控えたほうがよかったりすることもあるでしょう。
自分の住んでいる地域の慣習はわかっていても、遠方の地域で葬儀が執り行われるケースもあります。わからない場合は、参列する前に地域の慣習について先方に直接尋ねるか、年長者や先方の菩提寺に確認しておくと安心です。
忌中に他人の葬儀に参列したくない場合はどうするか
忌中に他人の葬儀の案内をもらったものの、参列したくない場合にはどうすればよいのでしょうか。参列したくない場合の対処法を3つ紹介しますので、事情に応じて使い分けてください。
忌中であり参列できない事情を伝える
忌中であり葬儀に参列できないことと、その理由をはっきりと伝えることが重要です。たとえば、家族を亡くした悲しみが癒えず、参列する気持ちになれないなどの心情を率直に伝えましょう。
相手も自分と同様に、近しい人を亡くした立場です。丁寧に気持ちを伝えれば、きっとわかってもらえるでしょう。
お悔やみの手紙を送る
葬儀に参列しなくても、手紙を送ることによってお悔やみの気持ちを伝えられます。葬儀当日に、供花や供物、香典などとともに手紙を送りましょう。香典を送る場合には、現金書留封筒に現金と手紙を同封します。
手紙には、故人を悼むお悔やみの言葉、参列できないことに対してのお詫び、忌明けあるいは喪明けに弔問したい旨などを記載しましょう。
代理の人に参列してもらう
忌中期間で他人の葬儀に参列したくない場合、代理の人に参列してもらうことも選択肢の一つです。自分と故人をそれぞれ知っており、関係性も理解している人に参列してもらえれば、自分の代わりにお悔やみの気持ちを伝えてもらえます。
参列時には、供花や供物、香典などを持参してもらうほか、自分が参列できなかったことへのお詫びの言葉も遺族に伝えてもらいましょう。
忌中期間にすべきこと
忌中期間には、ただ静かに身を慎んでいればよいわけではありません。以下のように、いくつかしなければならないことがあります。
- 神棚封じ
- 祭壇を飾る
- 四十九日法要の準備
忌中にすべきことをきちんと押さえて、四十九日法要を迎えましょう。
神棚封じ
自宅に神棚がある場合には、神様に死の穢れ(けがれ)を近づけないために「神棚封じ」を行う習慣があります。具体的には、忌中期間は神棚に半紙やお札を貼り、お参りをしてはいけません。
また、仏壇は扉を閉めておく場合と、開けておく場合があります。宗派や地域によって考え方が異なるため、事前に確認しておきましょう。
祭壇を飾る
葬儀・火葬が終わってから四十九日までの間、故人をまつる「中陰壇」や「後飾り」と呼ばれる祭壇を自宅に飾ります。
故人の冥福を祈り、極楽浄土に往生できるようにという願いを込めて、遺骨や位牌や遺影を安置する祭壇です。供花、ロウソク、線香、水、ご飯などをお供えしましょう。
弔問客が訪れた際には、中陰壇にお参りしてもらいます。仏壇の近くに安置するのが一般的です。
四十九日法要の準備
忌中期間には、四十九日法要の準備をしなければなりません。重要な法要であるため、葬儀後にできるだけ早く準備に取り掛かることをおすすめします。
まずは僧侶と調整のうえ、法要の日程を決めます。会場も決まったら、案内状を作成し、参列者に送付しましょう。
そのほか、「お斎」と呼ばれる法要後の会食を手配し、返礼品も準備します。また、四十九日法要の際に、白木位牌から本位牌へと故人の魂を移すため、本位牌も手配しておきましょう。法要当日に、僧侶にお渡しするお布施も必要です。
忌中にやってはいけないこと
忌中にやってはいけないこと、控えるべきことは、主に以下の4点です。
- 慶事
- 神社への参拝
- 新年の挨拶・正月のお祝い
- 宴会・パーティーへの参加
正しい知識を身につけて、マナー違反にならないようにしましょう。
慶事
結婚式などの慶事への出席は控えましょう。また、家の新築や改築などもお祝い事とされるため、忌中期間には避けたほうが無難です。ただし、どうしても結婚を祝ってあげたい気持ちが強く、出席したい場合には、先方に相談してみることをおすすめします。
また、自分が結婚式を主催する側である場合には、延期するのが一般的です。忌明けになれば結婚式を執り行うケースもありますが、喪明けまで延期すべきという考え方もあります。
神社への参拝
神道では、死は穢れであると考えられています。そのため、神社に穢れを持ち込まないように、忌中の人は神社に立ち入ったり、参拝したりするべきではありません。
神道は五十日で忌明けとなるため、以後は参拝が可能です。ただし、神社によって考え方は異なるため、事前に確認しておきましょう。
仏教の寺院については、穢れという考え方はなく、参拝しても問題ありません。
新年の挨拶・正月のお祝い
忌中期間は「あけましておめでとうございます」といった新年の挨拶は控え、年賀状も出しません。代わりに、喪中はがきを送りましょう。
門松やしめ縄などの正月飾りや、鏡餅、おせち料理など、正月のお祝いも控えるのが一般的です。ただし、地域によって慣習は異なります。たとえば、おせち料理は紅白の食材でなければ構わないとする地域もあります。
年越しそばは、お祝いの料理ではないため忌中であっても問題ありません。
宴会・パーティーへの参加
忌中に新年会や忘年会などの宴会、パーティーなどに誘われることもあるでしょう。お祝いのパーティーや、にぎやかな宴会などへの参加は、できるだけ避けるのがマナーです。
ただし、最近では、友人や知人同士のささやかな集まりであれば、参加しても構わないとする考え方も広がりつつあります。
まとめ
本記事では、忌中に他人の葬儀に参列してもよいのか、参列したくない場合の対処法、忌中にすべきこと、やってはいけないことなどを解説しました。
節度をもてば、忌中に他人の葬儀に参列しても問題はありません。ただし、参列したくない場合には、率直な気持ちを先方に伝えましょう。手紙や代理人による参列などで、お悔やみの言葉を送ることもできます。
葬儀に参列するにせよ、参列しないにせよ、忌中期間には身を慎み、亡くなった家族や親族を偲ぶ気持ちをもつことが大切です。
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