2024.07.15

葬儀の基礎知識

仏壇を2階に置くのはだめ?基本的なルールやマナーを解説!

仏壇は「私たちのご先祖様や亡くなった親族を祀る場所」として自宅に置いてあるものです。毎日手をあわせて読経をする人もいれば、お水やご飯をお供えして挨拶をする人もいるでしょう。

しかし近年では、自宅に仏壇を置く習慣が減りつつあります。「自宅に仏壇を置くことになって置き場所に困っている……」という方もいるのではないでしょうか。

なかでも、仏壇を置く配置に決まりはあるのか、2階に置いても大丈夫なのかという疑問を持つ方は多いようです。

そこで本記事では、仏壇を置く場所のルールや注意点について解説します。はじめて自宅に仏壇を置く方や、引っ越しなどで仏壇の配置を変えたい方は、ぜひ参考にしてください。

仏壇は2階に置いても大丈夫?

自宅に仏壇がおいてある家の多くは、1階に配置しているようです。「仏壇は1階に置くもの」というイメージがある方もいるのではないでしょうか。

仏壇を置くときは「どこに」「どの向きで置くか」というルールを確認しておく必要があります。

2階に置いても問題はないのか、仏壇のルールやマナーについて解説します。

結論!2階に置いても問題ない

仏壇を置く階数に決まりはなく、2階に置いても問題ありません。

ご自宅のスペースや状況などに合わせて、お参りしやすい場所に置けば大丈夫です。

ただし、以下のようなポイントを考慮して置き場所を決めることが重要です。

  • 高齢になったときでも毎日2階に上がって手をあわせられるか
  • 高齢の親族が自宅に来る機会があった場合、その方を2階に案内できるか
  • お盆などの節目のタイミングで住職さんに来てもらうときに問題ないか
  • そもそも業者さんが2階に運んでくれるかどうか

2階に置くこと自体は差し支えありませんが、人の問題、運搬の問題などをクリアできるかを確認しておきましょう。

気をつけたいのは置く「向き」

せっかくお参りしやすい場所に仏壇をおいても、向きが間違っていたら置き直さなければなりません。「どの向きで置くか」も事前に考えておきましょう。

仏壇の向きは5種類ある

仏壇を置く「向き」には諸説あります。明確には決まっていないものの、適当に置くのではなく、これからご紹介する5つの説を参考にして「我が家ではどう置くか」を決めてください。

南面北座説

「南面北座」は、お参りする方角を見て手をあわせるため、南向きにお仏壇を置くものです。曹洞宗(そうとうしゅう)や臨済宗(りんざいしゅう)を信仰している方は、この置き方になることが多いようです。

西方浄土説(東面西座説)

西の方角を見て手をあわせるために、東向きに仏壇を置きます。浄土真宗や浄土宗、天台宗では、信仰対象である「阿弥陀様」が西にいるという考え方をしており、西の方角に向かって手をあわせる習慣があります。

本山中心説

ご自宅で信仰している宗派の「本山」がある方角に向くようにお仏壇を置く説です。お参りする人が、本山の方角を見て手をあわせられるようにします。

たとえば、真言宗の場合には「高野山金剛峰寺」がある和歌山県に向かって手をあわせられるように仏壇を置きます。

春夏秋冬説

どの方角も大切であり、差をつけるべきではないという考え方です。お祀りする人が安らかに眠れる場所に置くことが重要となるため「どこに仏壇が置いてあると気持ちよいだろうか」「過ごしやすいだろうか」と、故人を想うことが大切です。

十方浄土説

「十方」とは、東西南北・東南・西南・東北・西北・上下です。これらすべての向きには仏様がいるという考え方から、方角は気にしなくてよいとされています。

たとえば、日蓮宗では仏壇を置く向きに関しての決まりがありません。

無宗教の場合はどうする?

日本人のなかには「無宗教である」という認識の方も多いでしょう。特定の宗教がない場合は、自由な向きで置いて問題ありません。

「何か目安がほしい」「指針があったほうがよい」のであれば、春夏秋冬説や十方浄土説などの比較的自由な説を参考にしてみてはいかがでしょうか。

仏壇を置く場所で避けるべき4つのポイント

ここまで、仏壇の向きについて解説しました。置く向きが決まったら、次は仏壇を置く部屋の環境を考えてみましょう。

ここからは、仏壇を置く場所で避けるべきポイントを4つ紹介します。

床が傾いている

仏壇は水平な場所に置くことが基本です。傾いたところに置くと、仏壇の扉が勝手に開閉してしまう、引き出しの開閉に不具合が出るなど、仏壇の変形が生じるおそれがあります。

熱気がある・乾燥している

仏壇の多くは木でできています。暑すぎたり乾燥したりしている場所は仏壇に痛みが出るおそれがあるため不向きです。人が快適だと感じる温度・湿度を保ちましょう。

照明が強い

一般的な家具と同様、直射日光や過度な照明は仏壇にとって悪影響です。光の調節がしやすい場所に置く、光の入り方によってはカーテンを設置するなどの対策をおこないましょう。

温泉や海沿いはNG

仏壇には、金具や金箔などが使われています。温泉が近くにある地域や海沿いでは、硫黄や潮風によって仏壇が錆びたり変色したりしてしまうおそれがあります。

また、人の汗や塩分、酸やアルカリなども痛みの原因となるため注意が必要です。

仏壇を置くうえで注意しておきたいこと

お仏壇を置くうえで注意しておきたいことは、向きや部屋の環境以外にもいくつかあります。

仏壇と神棚は一緒に置いて大丈夫?

家の事情によっては、仏壇と神棚を同じところに置かなければならないこともあるでしょう。「同じところに安置してはいけないのでは」と心配になる方も多いようですが、配置さえ注意すれば問題はありません。

 

注意点①:仏壇と神棚を向かい合わせにしない

仏壇と神棚を向かい合わせや対角線に置くと、それぞれに手を合わせた時に片方に背中・お尻を向けることになり、失礼にあたります。横並びに置く、片方に背中を向けることがないように置くなど工夫しましょう。

 

注意点②:上下に置かないこと

仏壇と神棚は、上下に置くことで上にいる方が下の方を踏むことになってしまうため、どちらかが上にならないようにしましょう。基本的には、横並びに置くという認識をもっておくことをおすすめします。

目線の高さに注意

仏壇を置く高さは、お参りする側が仏様を見下してしまわないように注意しましょう。座ったときには目より上の高さ、立ってお参りする場合でも胸より少し上になるように配置することが理想とされています。

仏壇の扉の開け閉めは?

仏壇には扉がついています。扉を開けると中に仏像などがあり、それに対してお参りするのです。

仏壇の扉は「仏様の世界」と「この世」の境界線としての意味があります。扉の開閉タイミングは、基本的には決まっていません。

ご先祖様に見守ってもらうという意味から、常に開けたままにしておく家庭が多いようですが、夜には閉めて朝になったら開ける習慣もあるようです。

ただし、法事やイベントごとなどで来客が増えるお盆の期間中などは、そのたびに開閉していると大変なので、常に空けておくほうがよいでしょう。

仏壇を置くスペース

前述したとおり、仏壇は扉を開け閉めできます。そのため、説明書などに表記されているサイズよりも15〜20センチほどの余裕をもって配置するようにしましょう。

なお、仏壇を置く場所のサイズは「幅・奥行き・高さ」を調べておくこと、仏壇が大きい場合には玄関などの搬入口も測っておくことが大切です。

仏壇は2つ置ける?

これまでは、宗派の問題や「ご先祖様が安らぐことができない」という考え方などによって、一つの家に2つの仏壇があることは好ましくないとされていました。

しかし、仏壇を引き継ぐ人がいないなど、さまざまな事情によって仏壇を2つ置かなければならないケースもあります。こういった場合には、置き方といくつかの注意点を守れば2つ置いても問題ありません。

仏壇の置き方

仏壇を一つの家に2つ置く場合、できるだけ別の部屋に設置しましょう。どうしても同じ部屋に置かないといけない事情があるときは、どちらも東向きに置くことを覚えておいてください。

また、マンションや2階建てなど仏壇を置く部屋の上に部屋がある場合には「雲」「空」「天」のどれかを紙に書いて、仏壇の上に何もないことを表現しましょう。

独断はNG

仏壇を一つの家に2つ置くことが決まったら、来てもらう住職さんや親族など周囲の人からも承諾を得ましょう。

とくに、高齢者の方は仏様に対する思いや考え方を大切にしているため、事情などを話し、対策をしていることを伝えておくのが理想です。

今後のトラブルを避けるためにも、「自分たちの先祖を蔑ろにしているわけではない」ことをはっきりと伝えておきましょう。

故人やご先祖様への気持ちを一番に

今回は、仏壇を自宅に置くときのルールやマナーについて解説しました。仏壇は2階に置いても問題ありません。置く場所や向き、部屋の環境など考えることはたくさんありますが、一番大切なことは故人やご先祖様を大切にする気持ちです。

お経を唱えることはできなくても、毎日仏壇に向かって手を合わせて挨拶したり、日常生活の報告をしたりするだけで、気持ちの整理ができることもあるでしょう。

ぜひ、それぞれの環境に合わせて最適な配置を決め、故人やご先祖様が快適に過ごせる環境をつくってみてください。

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